【短編】お願い、ヴァンパイア様
元はイイのだから、簡単な服でもそれなりに見えてしまうから恐ろしい。
さっきから通り過ぎる女の子たちが、振り返りこそこそと話しているのに気づいているのかな。
チラリと隣を見上げれば、汗を光らせながら面倒そうに目を細めているレン。
もったいないほど、本当はカッコいい。
「一体、なんの風の吹き回しだ」
いきなり紅い瞳をわたしに向けるものだから、思わずドキンと心臓が高鳴る。
慌てて視線を戻すと、一つ深呼吸を置いた。
「……レンのことを知りたいの」
手が震えた。
ぎゅっと握り締めた拳は汗ばんでいて、でも、そんな緊張感はどこか心地よかった。
「は?」
すっとんきょうなレンの声に、あたしは取り繕うように回り込む。
「だ、だって!……いきなり代償は『心』とか、レンの命がなくなるとか…急にそんなことを言われても、納得なんて出来ないんだもん!」
「あのなぁ…っ!」
「レンの気持ちは……そりゃ、わからないけど…」
苛立ったレンを抑えるために、必死にわたしも口を動かした。
神崎さんは言ってくれた。
わたしが『選択』するのだ、と。
「でもね、レンの命がかかっているならば、わたしはそれをも救いたい」
方法なんてすぐ見つからないのかもしれない。
けれど動き出さなければ、時は過ぎるだけ。
もう、待っているだけはイヤなんだ。
さっきから通り過ぎる女の子たちが、振り返りこそこそと話しているのに気づいているのかな。
チラリと隣を見上げれば、汗を光らせながら面倒そうに目を細めているレン。
もったいないほど、本当はカッコいい。
「一体、なんの風の吹き回しだ」
いきなり紅い瞳をわたしに向けるものだから、思わずドキンと心臓が高鳴る。
慌てて視線を戻すと、一つ深呼吸を置いた。
「……レンのことを知りたいの」
手が震えた。
ぎゅっと握り締めた拳は汗ばんでいて、でも、そんな緊張感はどこか心地よかった。
「は?」
すっとんきょうなレンの声に、あたしは取り繕うように回り込む。
「だ、だって!……いきなり代償は『心』とか、レンの命がなくなるとか…急にそんなことを言われても、納得なんて出来ないんだもん!」
「あのなぁ…っ!」
「レンの気持ちは……そりゃ、わからないけど…」
苛立ったレンを抑えるために、必死にわたしも口を動かした。
神崎さんは言ってくれた。
わたしが『選択』するのだ、と。
「でもね、レンの命がかかっているならば、わたしはそれをも救いたい」
方法なんてすぐ見つからないのかもしれない。
けれど動き出さなければ、時は過ぎるだけ。
もう、待っているだけはイヤなんだ。