【短編】お願い、ヴァンパイア様
あげる、なんてフリマの意味がない。
そしてなによりも、そんな怪しげのものなんか手元においていたら呪われそうだ。
「…い、いいです…っ」
逃げようとしたのに、一瞬早く彼女の腕が伸びてわたしの手首が掴まれてしまった。
もはや殺されてしまうのではないか、という不安。
心臓がやけに早く鼓動を打ちつづける中、彼女の口がゆっくり開く。
「遠慮しないで。……これは、恋をしなきゃ意味がないものだから」
その笑顔は、さっきまで雰囲気を壊すように柔らかかった。
だから安心してしまった……。
あとから考えれば、おかしいことなのだけど。
わたし、桐生椎名-キリュウ シイナ-には、叶えたい恋の相手がいたから………
……―受け取ってしまったんだ。
そしてなによりも、そんな怪しげのものなんか手元においていたら呪われそうだ。
「…い、いいです…っ」
逃げようとしたのに、一瞬早く彼女の腕が伸びてわたしの手首が掴まれてしまった。
もはや殺されてしまうのではないか、という不安。
心臓がやけに早く鼓動を打ちつづける中、彼女の口がゆっくり開く。
「遠慮しないで。……これは、恋をしなきゃ意味がないものだから」
その笑顔は、さっきまで雰囲気を壊すように柔らかかった。
だから安心してしまった……。
あとから考えれば、おかしいことなのだけど。
わたし、桐生椎名-キリュウ シイナ-には、叶えたい恋の相手がいたから………
……―受け取ってしまったんだ。