±0の法則。
ハルトは、いまいち釈然としない表情を浮かべる俺を見て、一度言葉を切ると、少し考えるように首を傾げた。
「…うーん、分かりにくいか。じゃあさ、なんかものすごく欲しいものがあるとする。そのためには小遣いほとんど使わなきゃいけない、とか言えば分かる?」
「…うん…。」
「分かってねぇよな。だからさ、つまり……ああもうわけ分かんなくなってきた。ともかく、±0なわけ、最終的には。」
最後はちょっと強引に終わらせた。
「うーん…」
俺はハルトの言葉を頭の中で何度も繰り返した。