きみのて
「今日のネイルはマーメイド。」



せっかく夏なのに、どこへも行けない。

せっかくきれいにしたのに誰にも見てもらえない。

ベットに戻ろうと立ち上がる。

そのままひっくり返る。


ベットに上がることすらできない。


心配そうな面持ちで、ちび太が距離を置いてこちらを見ている。


苦しい。

苦しい。


どんどん身体が蝕まれていく恐怖。

生まれてはじめて感じる種類の恐怖だった。
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