きみのて
それでもバイトは続けていた。

本当に、泣きながらバイトへ行っていた。


膝が急にかたく感じられ、転んでしまうこともあった。

その度に、杖をつく自分の姿が頭をかすめた。


どうしても行けない時のことを考え、バイト先の上司に事情を話し、様子を見てほしいと頼んだ。


関節の痛みにはサポーターをして耐えていた。

気休めだが、しないよりはましだ。

はじめて知る類の「疲れ」や、「具合の悪さ」。

どきどきと動悸がする。


バイト中、何度もトイレに立つ。
痛みに耐えて仕事をする。

それでも、なんとかやっていけると信じた。
きっと、もう少し、と。

治らない病気なら、働かないわけにはいかない。

そう思った。

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