きみのて
しばらく黙々と仕事をしていると、上司がわたしの元へやってきた。


「栞ちゃん、大丈夫?」


わたしは泣き出してしまった。

今まで懸命につっぱっていたものが、崩れてしまった。


「具合悪いのに、頑張って来てくれてるんだ。」


「・・・・。」


「ずっと悪い状態じゃないよ。悪い時は無理しないで・・・。」



上司の声が、遠ざかっていく。

どうすればいいというのだろう。

どんどん悪くなっていくのに。

本当に良くなるのだろうか。

だって、どうせ、治らないのは決まっているのに。
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