きみのて
その後もいいなと思う人に出会いもしたし、付き合った人もいた。
しかし、あれが違う、これが違うと比べては、やっぱり葵じゃないと・・・と思い、またやり直せる日が来るんじゃないか、迎えに来てくれるんじゃないかと、うじうじ考え続けていた。
「次はながーく平和に付き合える彼氏が欲しいなぁ。」
広間のテレビのチャンネルを、ケータイについているリモコンで勝手に昼ドラに変え、周囲のド肝を抜いている美加にぼそりと言う。
「無理無理っ」
「なんでっ?」
「あんた飽きっぽそうだから。」
そう言いながら、荷物をまとめ出す美加。
「えっ、帰っちゃうの?」
「うん。今日これからバイトなんだ。」