きみのて
美加・・・。まだ授業あるぞ。


さっさと行ってしまう美加の後ろ姿をぼんやり見送りながら、わたしもバイトはじめなきゃと、持参していた求人雑誌をその場で開いた。


「栞ちゃん?」


声をかけられ、顔を上げると、見覚えのある女の子が立っていた。


「わたし、覚えてる?山下さつきだよ。」

「さっちゃん!この大学だったんだ。」


同じ地元の山下さつきとは高校は別々だった。

中学の時は、どちらかというと小さくて、地味めな女の子だったが、今はすらりと背を伸ばし、大人っぽく変身していた。


「これからまた仲良くしようね!・・・あれ、バイト探してるの?」


求人情報誌を見て、さっちゃんが聞いた。


「ああ、うん。なんかいいのないかなーと思って。」

「さつきはテレマーケッターのバイトしてるんだ。よかったら紹介しようか?」

「本当!?」


さっちゃんにバイトの場所や仕事内容、シフトや時給のことなど詳しいことを聞き、喜んで紹介をお願いすることにした。
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