きみのて
陸はわたしのことをわかろうとしていないわけではなかった。

「俺、なにもできないけど、栞と続けていきたい。
なにかできることがあれば、言って欲しいんだ。」


今まで、こんなふうに一生懸命な陸を観た事はなかった。


「わたしも、自分のことで精一杯で・・・。」

わたしは泣きそうになるのを我慢した。


「栞は俺にとって、今でも本当に大切な人だよ。」


先のことを考えるのは、やめることにした。
陸の手の暖かさを感じて、救われる気持ちになったから。

大丈夫。
まだまだやっていける。
わたし達は、やっていけると強く思った。


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