きみのて
温泉に入った次の日も、特に具合が悪くなることはなく、平和だった。
少し耳がカサカサして痒くなったくらい。

旅館側から渡された、おみやげのきのこに一人暮らしをしている面々はたいそう喜び、光輝だけが顔をしかめていた。



温泉旅行から帰ると、早速メンバーに曲をわたした。
わたしがひとりでコツコツとやっていたものにメンバーが色をつけてくれる。

まるで別もののように完成していくのを感じて、やっぱり音楽って楽しいなと思い、メンバーに心から感謝していた。


卒業ライブまで、あまり時間がなかった。
なんとか間に合わせたい。
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