きみのて
唄い終わると、急に力が抜けた。

暗い客席から、拍手が聞こえていた。

終わった。

わたしの、大学生活が。


ステージから降りると、陸が待っていた。


「良かったよ。」


そう言って、手を差し出す。


この手に、どれだけ救われてきただろう。

いつもわたしを包み込んでくれる、この暖かい手。
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