きみのて
新しい日々の始まり
あれから、保先輩とは何もなかった。
のらりくらりと避わしているうちに自宅に到着した。
今日は学内で陸に会えなかった。
なぜか美加も来なかったため、暇な一日だった。
今日はサークルもパスして帰ろう。
とぼとぼと歩いていると、見たことのある車が横に停まった。
「よぉ。」
声をかけてきたのは、同じ地元で車通学している拓巳だ。
今まで、学部が違うのであまり会わなかった。
「おー!ひさしぶり。」
「帰んの?乗る?」
「いいの?ありがとー!」
わたしは車に乗り込むと、横目で拓巳を盗み見た。
昔はボウズ頭で卓球なんかやるタイプだったが、いつしか完全なるチャラ男に変身していた。