きみのて
「学部違うと全然会わないね。和也やケンちゃんには会ってるんだけど。」
「会わないねー。和也やケンちゃんも全然見かけないもん。」
「うちら、電車通学してるんだよ。」
「めっちゃ時間かかるでしょ?」
車通学はうらやましいけど、お金も運転に自信もない。
一人暮らしもしたくないし。
そんなことを考えていると、拓巳が聞いた。
「お前、高橋って知ってる?俺の学部の。」
「高橋陸君?知ってるよ?」
「お前・・・俺の友達に手出すのやめろよ。」
驚いた。
チャラいと思ってたのはお互い様らしい。
拓巳と陸は学部が同じだ。
そういえば、一緒に歩いてるのを見かけたことがあった。
「高橋君が決めることだよ。」
「とにかく、傷付けるようなことはするなよな。」
拓巳は、そう溜め息まじりに言った。