きみのて
光と陸はその後も特に気まずそうではない。
陸は話し上手じゃないし、不器用だけれど、誰からも好かれていた。
それに、誰にでも親切だった。
今まで、こういうタイプの人と付き合ったことはなかった。
葵はわたし以外の女の子とはほとんど話もしないような人だったし・・・。
「何考えてるの?」
不思議そうに陸が聞く。
わたしはこれから、ひとつひとつ、陸のことを知っていこう。
時間をかけて、積み木を積み上げるみたいに。
「なんでもないよ。」
陸の手をぎゅっと握る。
この手を、いつまでも離さないように、努力しよう。
そう、思った。