きみのて


「ごめんね、遅れて。」

「・・・もう!陸が遅いから変な奴にからまれるんだよ!?」

「ごめんごめん。」

「今日のご飯、奢りだからね!」

「喜んで。」


陸は笑って言った。
わたしは陸の硬い腕を、ぎゅっと掴んだ。


それからあちこち店をまわって、シルバーがいいだの、文字入りはいやだの、ゴツイやつはムレるだの(笑)言いながら、結局、バーバリーのシンプルなペアリングに決めた。

陸は男子にしては小さめのサイズだったので、まずサイズを探すのに苦労した。

青い小さな石がはめこまれたつや消し加工のリングは、指によく馴染んだ。

ペアリングははじめてだったので、とてもうれしかった。

< 54 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop