きみのて
家に帰って、わたしは棚の引き出しを開けた。

封筒から、そっと金色のリングを取り出す。


ごろんと寝転んで、眺めた。


返しそびれたリング。

特にサイズを言ってなかったのに、突然、
「安物だけど。」
と葵がくれたものだ。

「どうしてサイズわかったの?」
と聞くわたしに、

「チビなお前のサイズくらい、見ればわかるよ。」
と素っ気なく応えた。
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