きみのて
数日後、和也のほうのお葬式へ出席する。

高校を卒業したばかりで、喪服などなく、黒いワンピースを母に借り、わたしはただ呆然としていた。


式の途中、セーラー服を来た女の子が、引きずられるようにして場内に入ってきた。

和也の彼女だとわかった。

とても自分の足では歩けないようだった。


ねぇ和也、
和也の彼女が悲しんでるよ。


多くは話してくれなかったが、時折とても嬉しそうに彼女の話をしてくれることがあった。


ねぇ和也、
彼女が悲しんでるよ・・・


わたしは彼女の立場だったらということを、想像もできなかった。

想像しようとしただけで、気がふれてしまいそうだった。
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