きみのて
彼女は親族の席まで引きずられて行ったものの、着席することが出来なかった。


あまりに悲しいお葬式だった。


会場は、和也の高校時代の友達が多く、皆声を上げて泣いていた。


出棺前、彼女は支えられながら、和也の棺に釘を打った。


一度だけ打ち、泣き崩れてしまった。


わたしは和也の棺が車に乗り、走り去って行くのを呆然と見送った。



20歳前の、あまりに早すぎる死だった。

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