確かで不確かな未来に。
「広瀬…」
「でね、その次の大会で、わたし、みんなに見つからないように外からそっと見てたの。そしたら、『そんなとこで見てないで、もっと中入ればいいのに』って、男の子が声掛けてくれたの。わたし、何かすっごくその時いろいろ考え込んでたから、思わず全部しゃべっちゃって…手首のこと。」
広瀬はそこでふう、と一息ついた。
「で…なんて言ったと思う?その男の子。『何やってんの』だって。そのときの幸せばっか考えてちゃだめなんだよ、って。…怒られちゃったんだ。でもさ…それからすごく気持ちが軽くなって、初めて…全てを許せる気がした。…嬉しかった。そう言ってもらえて。」