ワンコ先輩とあたし。
現れたのは、目立たないという性格が嘘の様に笑顔の奴だった。
余りにも声が大きかったから、クラスのみんなが一斉に静かになって奴とあたしを見る。
「えっと…蒼真先輩?」
この時点であたしは逃げる体制になっていた。だって何が起こるか予想出来ないんだもん(汗)
「え、名前…」
先輩は少し固まっていた。
どうしたのかと思ったら、
あ、あれ?なんか目が潤んでる?泣きそうになってない?
「香代、俺嬉しいよ…
俺の名前知ってたんだねーーっっ!!♪♪♪♪」
泣きながら教室内のあたしのところまで走ってくる。
腕をひろげて、今にも「俺の胸に飛び込んでこいっ!」って感じのポーズ。
…相当まずい。
っていうかそれだけで何故泣くー!?
桃子が言ってたからわかっただけなのにー!!
「いやあああああっ!!」
「香代ちゃん!?」
華ちゃんが驚いてるけど、ゴメン今は説明してる暇がない!!!あたしは急いで教室を飛び出した。
……昨日と同じ展開…
だよね…
「逃げるなよ香代ーっ♪♪♪♪♪」
「逃げないとか無理だからぁぁぁ!!!
来るなーっ!!!!」
クラスの皆が唖然としていた。勿論あの3人も。
「先輩も先輩だけどさ…香代、なんか変わった?」
「あのどんな男でも無視し続けた香代が…ねぇ…」