ワンコ先輩とあたし。






あたしと先輩は、途中まで道が一緒だった。





「今日の香代は優し~な~♪」





「…わかりましたから手は離しませんか?」






先輩は手だけは離していなかった。



なんか恥ずいんですけど……



「香代は俺のだから離さないよ♪」





「いつ決めたんですか…」





「ずーっと前から」






何いってるんだか。



そう思いながらため息をついた。




















「そういえば先輩、なんであたしがお父さん好きだったの知ってたんですか?」





「んー、なんとなく。」








………なんとなく?




「……つまり確信はなかったってことですか?」



……呆れた。


じゃああたしってただの偶然で男嫌い治ったの?


なんかショック……




「いや、けど確信はあったよ。」





「なんでですか?」










「だって香代、あの時迷惑とか言ってるのに顔は泣きそうだったし」








……………え?


あたし、そんな顔してたの?



「だから何かあると思って止めたらそのこと話してくれて…」







「じゃああの時の嘘だろって言葉は……」




別にフラれたことじゃなくて………









ワンコ先輩は変だと思う。


だっていつも馬鹿っぽいのに、時々しっかりしてるんだもん………









あほ顔だと思っていた先輩の顔は、今はなぜか凛々しく見えた。






< 37 / 44 >

この作品をシェア

pagetop