満月の銀色ススキ
「大丈夫!?怪我は?」
駆け寄って、目線を合わせる。
安否を確認しようとして、はっと手を止めた。
少し躊躇って、伸ばしかけた手を下ろした。
「…平気。お面が壊れただけ」
顔から手を退け、顔を向ける。
さらりと、ススキの髪が流れて、顔が露わになった。
金色の瞳が吸い込まれそうなくらい澄んでいる。
「…よかった。それに、お面はない方がススキさんは綺麗」
静かに息を吐きながら微笑む。
ほっとした所為か、視界が揺れた。
抑えようと息を詰めるが無駄だった。
一つ、雫が落ちる。
それをきっかけに、滝のように涙が流れた。