満月の銀色ススキ
望月の嗚咽が響いた。
何処か遠いところで子どもが母親に呼ばれる声がする。


「危ないこと、しないで…」


小さな声が、ススキの耳に届いた。


「望月の方が危なかったよ」


「だからって、ススキさんも危ない目に遭っていいはずない!」


何でもないようにさらりと答える。
望月は強い眼差しでススキを睨んだ。

それにススキはびくりと肩を竦める。

暫く呆気に取られていたが、困ったように静かに微笑んだ。


「…原因は俺だから、責任はとらなきゃ」


初めて見るススキの微笑みはとても柔らかかった。
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