満月の銀色ススキ


「…魑魅魍魎やアヤカシは霊的な力を嗅ぎ分ける力を持ってる。だから、俺みたいなアヤカシのにおいが人間に付くと、さっきみたいなことになるんだ」


そこまで話し終えると、ススキは息を吐いた。

望月は漸く理解した。

ススキが触れるなと言った理由。
人除けと言った理由。

総てが、優しさ。


「…ススキさん。今は、触れてもいい?」


望月はゆっくりと、柔らかに訊ねた。

少し、驚いたように目を丸くする。
それからススキは何度か視線を泳がせた。


「駄目」


漸く響いた声に、望月は肩と共に視線を落とした。
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