満月の銀色ススキ
九重の残した言葉に、納得のいかない想いを残した。
それでも、名を呼ぶ声にススキは地面に降りた。

草がかさりと音を立てる。

その音に、望月は振り向いた。
自然と緩められる唇に、ススキの口も緩んだ。


「今日はいないのかと思った」


「昨日、また来るって言ってたのは望月だよ」


望月は静かに目を細めた。


「でも、約束した訳じゃないもん。わざわざ来てくれる理由はなかったのに」


「でも、折角来てくれたのに悪い」


ススキが肩を竦めれば、望月は嬉しそうに笑った。


「ススキさんのそういうとこ、好き」



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