満月の銀色ススキ
「…望月ってさ」
話しの区切りがついた頃、ススキはぽつりと零した。
望月はきょとんと顔を覗いている。
青い青い空を見上げた。
世界は澄んでいる。
「昨日、襲われたのに怖くないの?」
「どうして?」
さも当然のように訊ね返されて、ススキは戸惑った。
「どうしてって、原因は俺って言ったじゃん。近付こうと思わないよ、普通」
「じゃあ、私は普通じゃないのね」
呆気にとられつつ発した言葉にさらりと返事が返る。
間髪入れないそれは本心以外の何でもなかった。
「…変わってるね」
「そうかな」
「変わってるよ」
穏やかにススキは微笑んだ。