満月の銀色ススキ
四章
しんと静まり返った古い家。
昼間の騒がしさは微塵も感じられない。

深夜、少し欠けた始めている月。

それを眺めながら望月は縁側に座って足を揺らす。


(あと、四日か…)


望月は少し表情を曇らせた。

先ほど、日付けが変わったを確認している。
正確には、三日と数時間だ。


(…会えなくなる)


ススキに。

居られるのは一週間。
それ以上は留まれない。



――カタンッ



静寂に響く物音。
驚いて、振り返った。

泊まりに来た従弟が寝ぼけ眼を擦っている。

目の前を通り過ぎて行くのを見て、小さく笑った。
どうやら、トイレに起きたらしい。
< 42 / 72 >

この作品をシェア

pagetop