満月の銀色ススキ
従弟が通り過ぎて、望月の意識は昼の賑わいの中に戻っていった。

久しぶりだった。

父の三人の姉妹は宴会場の準備を始め。
二人の姉の旦那は父と早々に杯を酌み交わす。

母と祖母は台所を仕切り、従姉や父の三姉妹に上手く指示を出していた。

後から母の妹夫妻も混ざり、その息子娘も加わった。

田舎でも、これほど親戚が集まるのは今時珍しい。
祖母がそう、毎年笑って言うのだった。

実際、陽が暮れても賑やかなのは望月の家くらいだった。


「今の子はちょっと見ないうちにべっぴんさんになっちまうなぁ」


おじさん達が、従姉を見てそう盛り上がっていた。
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