満月の銀色ススキ
思い出して、望月は苦笑した。

恥ずかしかった。
だが、楽しかった。

ずっと続けばいいのに、と何度も思う。

この時期、お正月、その他の楽しい時間。
例え、絶対に叶わないとわかっていても。


(…そう。ずっとは、続かない)


わかっているから、余計に淋しかった。

サラサラと流れる風。
傍に吊されていた風鈴がチリンと涼しげな音を鳴らした。

水音がして従弟が戻ってくる。

ふらふらと覚束ない足取り。
眠気がピークに達しているようだ。

望月はまた苦笑して、従弟を布団まで連れて行く。
無事、布団に潜り込んだのを確認して、望月は自分も眠りについた。
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