もしも願いがかなうなら。

この角を曲がれば、到着。

そこまで来た時、ピークを越えて、思わずカイの腕を掴んでいた。

「ちょっと、待って。」

カイは、驚いた様子もなく、あたしを見下ろして、静かに言った。

「落ち着くまで、待ってやるよ。」

と。

ホントは分かってたんだ。

自分の体が、ふわふわ軽くて…

見えてるものが、いつもと同じなんだけど、なんとなく、見え方が違っていることに。


認めなきゃいけない現実が目の前に迫って、結果が分かっているから、ここでためらった。

そう…、現実であることを受け入れたく無かっただけ。


「カイはさ、死神?(笑)」



なんとなく、カイなら、呆れた顔で否定すると思ったのに、そこにあったのは、辛そうなカイの顔。


「……。そうかもな。」


『神ではないけどな』そう言って、笑ったカイは、今までで一番さみしそうだった。
< 11 / 23 >

この作品をシェア

pagetop