もしも願いがかなうなら。
この角を曲がれば、到着。
そこまで来た時、ピークを越えて、思わずカイの腕を掴んでいた。
「ちょっと、待って。」
カイは、驚いた様子もなく、あたしを見下ろして、静かに言った。
「落ち着くまで、待ってやるよ。」
と。
ホントは分かってたんだ。
自分の体が、ふわふわ軽くて…
見えてるものが、いつもと同じなんだけど、なんとなく、見え方が違っていることに。
認めなきゃいけない現実が目の前に迫って、結果が分かっているから、ここでためらった。
そう…、現実であることを受け入れたく無かっただけ。
「カイはさ、死神?(笑)」
なんとなく、カイなら、呆れた顔で否定すると思ったのに、そこにあったのは、辛そうなカイの顔。
「……。そうかもな。」
『神ではないけどな』そう言って、笑ったカイは、今までで一番さみしそうだった。