もしも願いがかなうなら。
『二人っきりだと、間がもたないから。』と言った本人は、彼と二人仲良く、他の何もかもを寄せ付けない雰囲気で歩いてる。



『はぁ……。』


嫌でもため息は出る。

『何の為に呼んだのよ。』


頭の中は、そんなイライラがグルグルとまわっていた。




「……もう、帰りません?」


気づけば、イライラはMAX。

何も悪くはない、自分と同じ被害者な隣人に、半ギレ状態のまま、無意識で、しかも少しヒステリックな声で言ってしまった。


「……プッ。」



言ってしまった直後、見ず知らずの、しかも、ひとつも非がないこの人に、押さえ切れずに出してしまった言葉と態度に、顔もあげられないでいるあたしの耳に聞こえてきた、彼の堪えた笑い声。

既にキレてしまっていたあたしの目はきっと、彼を睨んでいたに違いない。


それなのに……。


「そうだね、帰ろっか。」


そう言って、優しく笑う達也がいたんだ。
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