最後〔終わりの唄〕

第二曲  発見

俺は智仁の上司に言われて現場に向かうことになった。

「本当に田口だったのか?」

俺が信じられないという風に言うと、智仁は重々しく頷き、

「生徒手帳が落ちていたらしい。顔も一致した。」
「マジ…だったんだ」


田口はこの時代には珍しい爽やかな奴だった。俺と、田口と、雄一でよくつるんで遊んだ。そんな奴が殺されるなんて…。恨みを買うような奴じゃねぇのに。


「着いたぞ。」
考え事をしていたら現場に着いたらしい。

「は?ここ廃ビルじゃねぇか」

考えていた所とは全然違った。どっからどう見ても、古い廃ビルだ。違うのは入口に黄色いテープが張ってあるだけだ。

「現場はここの地下のバーだ。」
「バー?」

智仁に説明をされながら階段を下りていると〖SHUTS〗と言う看板が目に入った。
「ここ」
そう言って智仁はドアを開けた。部屋の中は暗くて周りが見えない。だが、鼻を突くような鉄の臭いは分かった。
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