最後〔終わりの唄〕
無視かよ……って、俺疑ってんのかよ。いい度胸してんじゃねぇかこのくそジジぃ。
「ちょっと待ってください!竜が田口君を殺す動機がない!!!」
「それはどうかなぁ?今時の学生は何考えているか分らんからなぁ」
智仁は庇ってくれたが、班長の寺井は嫌な笑みを浮かべながら俺を見た。
「その時なら、電車にのってましたよ」
その時なら、学校帰りの電車に乗っていたはずだ。
「そう。じゃ、今日の所は帰っていいから。」
そう言って寺井は鑑識のほうに行った。
「帰ろう……竜」
智仁が優しく言って立たせてくれたが、俺はもう何も言えずに自宅に帰った。
その数日後、田口の葬式が行われ、俺達も参列した。その日、田口は空に旅立った気がする。