最後〔終わりの唄〕
間奏 恐怖
部活で遅くなった暗い帰り道、俺はゆっくりと歩いていた。
「大分、遅くなったなぁ」
頭の上には満月が輝いている。
「ふぁ~」
大きな欠伸の後、俺の背後に人の気配を感じた。ここは夜になると人通りがメッキリ無くなる住宅街。
「(不審者…だったりして)」
身の危険を感じ、歩く速度を早めた。だが、気配は俺の後ろを付いて離れない。いい加減にしろ!と怒鳴ろうと振り向くとすぐ後ろに、そいつは立っていた。
「ふ、ふざけんな!いい加減にしろ!!」
「…………」
そいつは黙ったまま俺のことを見ている。
「黙ってねぇでなんか言えよ!!」
「クックックックックックッ」
ジャリ…
不気味な笑い声に俺は後退りをしながら、そいつと距離をとった。
「俺はいたって真面目だよ?菊智 翔君?」
「ど、どうして俺の名前を……」
地を這うような声でそいつは俺の名前を言った。
「”どうして?”それはこーするため!!」
そいつはジリジリと後退りをしていた俺に近づき、首に手をかけ、一気に絞め上げた。
「あ゛!!…ぅ゛…ヤメ…ッ」
…苦しい…死ぬ…と思った時、そいつは俺の耳元で呟いた。
「アイツの大切なモノは必ず…」
そいつは首を絞める力を強め、俺の意識はプツリッと切れた。