緑ノ刹那
『…そんな神が、何故ただの人間をそこまで?』


『……わからない。
私は何も言われ無かったから。

でも、彼が動いたという事は、何かあるのかも。


――でも、関係ないよ。
私はただ、リーフを守る。
リーフの望みを叶え、この国を守護するだけ。

これで、満足?』


フィリアはわかっていた。

バルドはただ、リーフが心配なのだ。
だからこそ、こうしてフィリアを問い詰め、数少ない"真実"を引きずり出した。


そういうところは、フィリアも気に入っている。


『…もうひとつ、いいか?』


さすがにフィリアは呆れた。

これ以上何かあるのか。


『何?』


『俺の――いや、騎士団の師範にならないか?』


フィリアは目をまるくした。


『師範?
私が?』


『ああ。
その腕前なら文句は無いだろう。
それに、今はもう遺っていない、古くから伝わる武術を体感したい。

どうだ?
やらないか?』


フィリアはしばし考えた。


確かに、いいかもしれない。
フィリアが武術を教える事によって、騎士団全体のパワーアップに繋がり、もし戦いがあってもある程度は安心だろう。

それは、この国を守り、リーフを守る事にも繋がる。


『わかった』


(そういえば)

ふと思い出した、ヨナの予言。


(――あたってる)
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