緑ノ刹那
『………来ない』


謁見の間で玉座に座るリーフは、ため息をついた。

トウサ王国から来るはずの一団が、全く来ないのだ。


リョクラ王国の王都付近に着いたという知らせが来たのは、もうかれこれ二時間前。

しかし、一団は影も形もない。



リーフはいい加減飽きていた。


『……いっそ迎えに…』

『駄目よ』


暇をいいことに、この場から逃げ出そうとしたリーフだったが、フィリアの言葉に止められてしまう。

見ると、ちょうど入ってきたばかりらしいフィリアがリーフを半眼で睨んでいた。


『リーフ……
貴方はとりあえず王サマなんだから、じっとしてて。
迎えには私が行くわ。
もしかしたら迷ってるのかもしれないし』


『別にフィリアが行かなくても……』


『行ってきます』


リーフに皆まで言わせず、フィリアはさっさと再度出て行った。
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