緑ノ刹那
『リーフ、大変よ!
街で盗賊が暴れてるみたい。
兵を動かして、すぐに賊退治を……』
リーフは内心頭をかかえた。
どうしてこう、間が悪いのだろう。
何とかシオンに言い訳をしようとした途端にフィリアが入って来たのだ。
フィリアはシオンに気づいたのか、ゆったりと笑い、正式な礼をとった。
シオンはそれに思わず魅入り、そしてすぐさまフィリアの手の甲に口づけた。
『また会えて光栄です、緑の姫君。
ずっとお礼を言いたいと思っていたのですよ。
ただ、その前にお名前を教えて下さりますか?』
フィリアはチラリとリーフを見てから、未だ握られたままの右手をスルリと自然にシオンの手から抜き取った。
『そういえば、言いませんでしたね。
フィリア、と申します。
フィリと呼んで下さい、シオン殿下』
『では、私もシオンと呼んで下さい。
――改めて、先程はありがとうございました、フィリ。
貴女のおかげで、我々は無事にここへ着くことが出来ました。』
『いいえ。
魔物をのさばらせていたこちらに、非があるのです。
お気になさらずに。
では、私は仕事があるので、失礼しますね』
そう言って、フィリアはリーフをチラリと見て、賊退治について目で確認をとると、身を翻し部屋から出て行った。
街で盗賊が暴れてるみたい。
兵を動かして、すぐに賊退治を……』
リーフは内心頭をかかえた。
どうしてこう、間が悪いのだろう。
何とかシオンに言い訳をしようとした途端にフィリアが入って来たのだ。
フィリアはシオンに気づいたのか、ゆったりと笑い、正式な礼をとった。
シオンはそれに思わず魅入り、そしてすぐさまフィリアの手の甲に口づけた。
『また会えて光栄です、緑の姫君。
ずっとお礼を言いたいと思っていたのですよ。
ただ、その前にお名前を教えて下さりますか?』
フィリアはチラリとリーフを見てから、未だ握られたままの右手をスルリと自然にシオンの手から抜き取った。
『そういえば、言いませんでしたね。
フィリア、と申します。
フィリと呼んで下さい、シオン殿下』
『では、私もシオンと呼んで下さい。
――改めて、先程はありがとうございました、フィリ。
貴女のおかげで、我々は無事にここへ着くことが出来ました。』
『いいえ。
魔物をのさばらせていたこちらに、非があるのです。
お気になさらずに。
では、私は仕事があるので、失礼しますね』
そう言って、フィリアはリーフをチラリと見て、賊退治について目で確認をとると、身を翻し部屋から出て行った。