緑ノ刹那
『さっきのは冗談だけどね』


不意に、フィリアが口を開いた。

バルドは静かに耳を傾ける。



『多分、二人は似てるのよ……。
まるで、鏡合わせの様に…』


『似てる?
全然違うぞ?』


バルドにはそうは思えなかった。
しかしフィリアは首を振る。


『二人とも、とても寂しそう。
周りに人はいても、それは臣下ばかり。
それじゃあ心を許す事は簡単じゃないわ。
かといって、真実孤独な訳でもないから、どちらも距離がつかめない。
――それでも、二人は国王だから。

………あの二人が、本当に友達だったらいいのにね』


バルドは押し黙った。

その様子に、フィリアは今の話が嘘の様にゆったりと笑った。


『………でも、私も全てを知っている訳じゃないから、ただの私の独り言よ。

さ、準備も出来たし、二人を呼びに行きましょ』
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