緑ノ刹那
『毎回毎回邪魔しないでもらえるかな?
ハッキリ言って目障りだよ、リーフ』


『それはこっちの台詞だな。
大体、突っかかってくるのはそっちだろ?
――あぁ、いっそ国に帰ったらいいんじゃないか?
その方がこっちとしても嬉しいよ』


『そうだね、そうさせてもらおうかな。
フィリにも、トウサの美しい風景を見せてあげたいと思っていたことだし』


『は?
フィリアが行くわけないだろ?』





フィリアとバルドが準備を整えている間、リーフとシオンは凄まじい舌戦を繰り広げていた。


二人とも、お互いが邪魔でしかたがないのだ。



しばらく睨み合った後、続きをしようと再び口を開いた二人は、その後すぐにそれを閉じる事になる。


『リーフ、シオン
準備ができたわよ。
………どうかしたの?』


見事に固まった二人を見て、首を傾げるフィリア。

そんな彼女に引きつった笑いを向け、リーフとシオンは影でお互いの足を踏み合ったり手を抓ったりなどという、
―――所謂情けない攻防を繰り広げつつ、そちらに向かったのだった。
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