緑ノ刹那
『久しぶり、フィリア』


フィリアの頬に口づけ、にっこり笑うレイ。
フィリアは呆れながらも同じ様にレイに口づけた。


『何故来たんだ、レイ?
国を任せてた筈だろう?』


レイをリーフと共に睨み付けながら(こういう時だけ気が合う)、シオンが言った。

それにレイは曖昧に笑う。


『あの地震の事ね?』


『―――そうだよ。
みんなにも確認とったんだけど、やっぱり気づかなかったらしい。
今、サヤもこっちに向かってる』


フィリアは目を丸くした。


『サヤが?
国は…っていうか契約者の方は平気なの?』


『全然全く問題ない』




まるでレイの様な登場に、リーフ達"一般人"はギョッとした。

見ると、そこには黒髪に深紅の瞳を持った二十歳程の女性が立っている。


『サヤ!!
早かったね』


レイがニコニコしながら声をかけた。

それにサヤは目だけで返し、真っ直ぐフィリアへと向かう。


『フィリア、久しぶりだな』


男の様なぶっきらぼうな口調に、フィリアは苦笑した。


『久しぶり、サヤ。
……って言いたい所だけど、この間会ったばっかりよ?』


『いや、フィリアが目覚めたんだな…と思うと、どうしても。
ずっと会ってなかったから、どんなに顔を見ても久し振りな気がする。

……それもこれも、あのクソ男のせいで…………』



その言葉と共に、サヤはリーフをギロリと睨む。

視線で人が殺せるなら、リーフはとっくに死んでいるだろう。



リーフは何だか遠い目になった。


――なんか、最近よくあるよな、こういうの。


初代国王は一体なんなんだ。

まあ恨まれているのはリーフも同様なのだが。
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