緑ノ刹那
『でも、それはかなり難しい。
大体、私達の力の全てを阻むなど……』


『私くらいしかできない?』


『!!』


サヤの言葉に応える様に、部屋に誰かの声が響いた。

リーフ達だけでなく、フィリア、レイ、サヤの3人も驚いて振り返る。


そして次の瞬間には、一気に皆顔色を変えた。

そんな様子に気づかず、リーフは声の主を観察した。


その人物は男だった。
年齢はリーフよりも少し上だろうか。

銀の髪に金の瞳と、どちらも珍しい――いや、初めて見る色合いだった。
そして、フィリア達と同じく人外に顔がいい。



――この人も、"魔王"…?




『それは違うな、リーフ。
私は魔王ではないよ』


リーフは目を丸くした。


彼は。


――考えてる事が…


『わかるよ』


また考えを読まれた。
リーフもバルドも言葉を失う。


その間に、やっとフィリアはショックから抜け出したのか、半ば叫ぶ様に言葉を発した。


『何故……何故ここに』


男はフィリアを見た。


『決まってるよ。
君に会いに来たんだよ、フィリア。
私の愛しい緑の魔王』
< 163 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop