緑ノ刹那
フィリアは自らの体を静かに見下ろした。


そして端正な顔を歪める。



自分自身の様々な想いを振り払うかの様に頭を振ると、フィリアはレイを部屋のソファーに寝かせた。




レイは随分と消耗している。

それ程、自分に力を注いでくれたという事。





自分は、何も返せないのに。
みんなが自分の事を心配しているのは知っている。
リーフを主とした事を、不満に思っている事も。

しかし、自分には今の状況を変える事は出来ないし、変えたいとも思っていない。





それでも、想われているのは苦しくて。

不意に、破壊衝動に駆られる。

そんな、"出来損ない"の自分。



それでも―――そろそろ、終わらせなければいけないのだと思う。

例え、それがこの先どの様に自分達に影響していくのだとしても。



『………ありがとう、レイ』



微笑んで告げて、フィリアは自分がずっと傍にいた、自分だけの主が急いで向かって来る気配を感じて、目を細めた。




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