緑ノ刹那
『クレイ…何で私を呼ばなかったの?
そうしたら私はすぐに来れたのに……』
『……彼に、予言されたよ』
『………クレイ?』
もう、傷口は塞がっていた。
触れようとする手を押しとどめて話すクレイに、私は酷く不安になった。
『フィリア、私を殺してくれ』
―――そうしなければならないと、彼を見た瞬間からわかっていた。
でも、それでも。
『……なんで?
なんでそんな事、私に頼むの…』
『フィリア』
クレイは咎める様に私の名前を呼んだけど、私は聞こえないフリをした。
『フィリア、聞いて。
約束して。
私が死んで、五百年たったら、リーフという者が王家に生まれる。
君には、彼を見守っていて欲しいんだ。
君が気に入れば契約したっていい』
『知らない。
そんなの知らないわ。
そんな約束、しない。
気に入る筈なんて無いわ。
クレイ以外に私が契約するなんて無い。
貴方がいないなら、こんな世界意味ないの。
なんでそんな事言うの?
私に、貴方と世界を殺させるの?』
―――今思えば、それは私の……
最低で
最高の
愛の告白だった。