緑ノ刹那


森の、最も拓けたその場所。


巨大な樹の下に、彼女はいた。



『……フィリア』


吐息が、消える。



以前よりも伸び、今や膝裏まで届く黒緑の髪が、緩やかにたなびいた。


瞳も以前よりも輝きを増し、
その唇は艶やかな朝露に濡れた薔薇のよう。


少女を脱したその身体は、
四肢がスラリと伸び、輝くばかりの白さを誇る。




振り返ったフィリアの双眸が、

リーフを捉え


フッと細められた。


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