緑ノ刹那
夕食を食べると、みんな部屋に戻ったが、フィリアは何となく外の空気が吸いたくなって、外に出た。


いつの間にか日が落ちていて、辺りは真っ暗になっていた。


(疲れた…)

素直にそう思う。
この3日間だけで、驚くほどの体験をした。

リーフを拾って、バルドに会って、初めて森を出た。
そして、今自分は王都にいて、ディーンにも会って、宿に泊まっている。


不思議な気分だった。




(―――それに、)


リーフとディーン。

この2人は、とても不思議な感じがする。


2人を見ていると、妙な光景が一瞬頭をよぎる。
霧がかかっている様に曖昧なのに、どうしても頭から離れない。



(私は以前に、彼等に会ったことがある……?)


とても懐かしくて、でも、とても悲しい記憶。


(あれは、何なんだろう――)



『……フィリ?』
誰かの声がした。
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