緑ノ刹那

王サマと婚約と戴冠と

早朝、相も変わらず4人で宿を出る。
ヨナは占い師だそうで、これから先、城で待ち受けている事を占うと言ってくれた。


『…占い?』
"占いというモノ"を知らないフィリアは首を傾げるばかりだったが、そこはバルドがわかりやすく説明した。


『…どれ、まずはリーフ様から視てみようか』


そう言って、ヨナは目を細めた。


数秒の間の後、ふぅっと息を吐く。


『――リーフ様は、城で予想外の事に出会うでしょう。
そして、全ての真実を知る。』



『真実…?』


リーフは訝しげだった。
そんな彼に、ヨナはなおも言う。


『そう。
それは、悲しみを伴うもの。
けれど、どうしても越えなければならない壁』


『どういう事?』


尋ねたリーフに、ヨナは心苦しそうに首を振った。


『言えぬのです。
そのように、約束したのですよ。
それに、運命は切り拓くもの。
占いは道標に過ぎないのです』


次に、バルドの方を向く。

『お前は、動くことの出来ない沼へと身を沈める。
心して日々を過ごせ。
しかし、そののち良き剣の好敵手に出会えるだろう』


『ディーンは、暗闇へと行くことになるが、それは真の闇では無い。
お前は赦され、そして幸せを知る』


『――そして、フィリは、記憶を取り戻す。
しかしそれには、この場の四人が必要不可欠。
思い出すと同時に、貴女も全てを知る。
それは、貴女にとっての光であり闇であるでしょう』


全ての占いが終わり、ヨナは息をついた。


宿の中は静寂に包まれ、誰もが身動きさえしない。
< 28 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop