緑ノ刹那
まず目に入ったのは、金の玉座だった。
そこに、王が座っている。
リーフと同じ、金の髪に蒼の瞳。
その瞳が、フィリア達4人を捉えた。


リーフが片膝をつき、深々と頭を下げた。


『只今戻りました』


慌てて三人も同じようにする。
王がふっと相好を崩した。


『そんなに堅苦しくする必要は無いだろう。
――やっと帰ってきたか、我が息子よ。
"また"家出したと聞いて呆れたぞ』


リーフは立ち上がりながら王を睨みつけた。


『誰がそうさせたんですか。
友人が出来たんです。
城に滞在させても問題無いですよね』


王は鷹揚に頷いた。


『あぁ。いいだろう』


その言葉にリーフはクルリとディーンに向き直った。


『ごめん、ちょっと外で待ってて貰っていいかな?
少し話があるんだ』


ディーンは頷くと、フィリアの方を気にしながら部屋から出て行った。


『話したい事とは何だ?』


『僕の婚約の事だよ』


いきなりくだけた調子でリーフは話し出した。


『ああ。
あれか。お前がいない間に、良さそうな娘を見繕っておいたぞ』


(やっぱり…)


『悪いけど、全部断っておいて』


『お前なぁ…。
リーフ、お前も王族だ。
そろそろ婚約の一つや二つや三つぐらいしなくてどうする』


リーフは呆れかえった。


『婚約は二つも三つもするもんじゃ無いよ。

――それに、僕は好きな人が出来たんだ』


そう言って、フィリアを引き寄せた。


『ほぅ…
お前に好きな人。
あれほど女を嫌がっていたお前がか。
どれ、どんな娘だ。
顔を上げなさい。
……!!』


顔を上げたフィリアを見て、王は息を呑んだ。


『…なっ
君は……君の名は、何という?』


『フィリアと申します』
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