緑ノ刹那
誰もいない、静まり返った廊下を、リーフは一人で歩いていた。


戴冠式には、王となる王太子と、その従者、戴冠の証人となる賢者と、女神が必要だ。

これは、リョクラ王国の初代国王が王として即位した当時を再現するものだ。

何でも、初代国王は銀の塔が建てられる前のあの場所で、その三人と共に王となる誓いをし、女神から花冠を授かったらしい。

そして、それを記念し、その場所に美しい銀の塔を建てた。


故に、代々の王が塔の前で即位するのだ。


もっとも、今となっては女神も賢者も居ないため、適当な代役をたてる。
父の時には母が女神役をしたそうだ。
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