緑ノ刹那
二人で、しんと静まり返った廊下を歩く。
ここでは喋ってはいけない決まりだ。
なのに、リーフは普通に話しかけてきた。
『フィリ』
『ちょ…リーフ!?
喋っちゃ駄目よ!!』
慌てたフィリアに、リーフは笑った。
『大丈夫だよ。
今まで儀式をやってきた歴代の王達も普通に喋ってたらしいし』
『……へぇ』
(思いっ切り儀式無視じゃない。
確かに話せないのは暇だけど、ちゃんと意味あるのに)
と、腹ただしく思っていて。
気づいた。
(――なんで、そんな事わかるの?)
自分は…
何かを思い出しそうで、思い出せない。
歯がゆかった。
『…リ……フィリってば、聞いてるのか?』
リーフの呼びかけに、ハッとした。
慌てて、リーフを見る。
『…ごめんなさい、何?』
その様子に、リーフは嘆息したが、すぐに気にせず、フィリアの顔を覗き込んだ。
『いや、いいんだ。
で、話なんだけどさ―――』
立ち止まったリーフを不思議そうに見つめて、フィリアは首を傾げる。
『話?』
リーフは意を決して、言った。
『――儀式の後、話したい事があるんだ。
それを、フィリに聞いて欲しい』
それくらいならと、フィリアは頷いた。
リーフの表情が、目に見えてホッとしたものになる。
『じゃあ、行こうか』
そうして、いつの間にか目の前にあった塔への道に続く扉を、くぐった―――
ここでは喋ってはいけない決まりだ。
なのに、リーフは普通に話しかけてきた。
『フィリ』
『ちょ…リーフ!?
喋っちゃ駄目よ!!』
慌てたフィリアに、リーフは笑った。
『大丈夫だよ。
今まで儀式をやってきた歴代の王達も普通に喋ってたらしいし』
『……へぇ』
(思いっ切り儀式無視じゃない。
確かに話せないのは暇だけど、ちゃんと意味あるのに)
と、腹ただしく思っていて。
気づいた。
(――なんで、そんな事わかるの?)
自分は…
何かを思い出しそうで、思い出せない。
歯がゆかった。
『…リ……フィリってば、聞いてるのか?』
リーフの呼びかけに、ハッとした。
慌てて、リーフを見る。
『…ごめんなさい、何?』
その様子に、リーフは嘆息したが、すぐに気にせず、フィリアの顔を覗き込んだ。
『いや、いいんだ。
で、話なんだけどさ―――』
立ち止まったリーフを不思議そうに見つめて、フィリアは首を傾げる。
『話?』
リーフは意を決して、言った。
『――儀式の後、話したい事があるんだ。
それを、フィリに聞いて欲しい』
それくらいならと、フィリアは頷いた。
リーフの表情が、目に見えてホッとしたものになる。
『じゃあ、行こうか』
そうして、いつの間にか目の前にあった塔への道に続く扉を、くぐった―――