緑ノ刹那
フィリは、時々遠い空を見上げる。
本人は気づいてないけど、そんな様子を見ると、どこかへ行ってしまうんじゃないか、僕から離れるんじゃないかと思って、無理矢理にでもこっちを向かせたくなる。


ほら、今も。


こっちを向かせる為に、声をかけて、立ち止まって、儀式の後に話があると言ったら、無邪気に笑う。


僕が何を言うのか、全然わかってない。



好きだよ、フィリ。



君に伝えたいんだ。
君が、僕の傍にいるうちに。
どこにも行かないように。


君を、誰にもとられたくないんだ。



でも、ふと見た君の顔は、何故だか不安げで。
何だか、自分は大切な事を見落としてるんじゃないか。
そんな気がした。









でも、それは遅すぎたんだ―――
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